ユーフォリア12年目の年越しにあたって|宮田誠

スポーツ界にとって、本当に多くのことがあった2019年。

なかでも、弊社の「ONE TAP SPORTS(ワンタップ・スポーツ)」が生まれるきっかけとなったラグビーW杯日本大会は外せないので、弊社の歩みとともに振り返りたいと思います。少々長いですが、よろしければお付き合いください。

2012年、スポーツチーム向けのアプリなど作ったことの無かった私たちを信じ、チャンスを下さったのは、友人を介して紹介された当時の岩渕ゼネラルマネージャー(現:日本ラグビー協会専務理事)、エディジョーンズ・ヘッドコーチ(現:イングランド代表HC)を中心としたラグビー日本代表スタッフの方達でした。

エディさんが日本代表のヘッドコーチに正式就任したのが2012年4月。
2012年の秋に我々は採用され、数ヶ月の開発期間を経て、2013年の春からONE TAP SPORTS(当時は違う名前でした)は本格稼働となります。

コンサルティング会社のバックグラウンドがあった僕たちにとって、ラグビー日本代表チームの要求そのものは、比較的早く理解することができました。
チームでは、2019年からの逆算(バックキャスティング)でしっかりとプランが確立されていたからです。

「2019年に自国開催のラグビーW杯でベスト8」

そこから逆算し、フィジカル強化をベースとして「いつまでに」「何をやるか」が明確になっており、(当時は)ラグビー素人であった僕たちにとってはむしろロジカルで、分かりやすいものでした。

やるべきプランがとても明確だったので、その過程を「見える化するためのソフトウェアを開発して欲しい」というリクエストは、「頭で」理解するのにはあまり時間がかからなかったことを覚えています。

しかしそれはあくまでも「頭で」です。
実際に菅平の合宿で運用が始まってから、現場から多くのフィードバックを頂き、何度も何度もカスタマイズを重ねることになりました。

エディさんから直接言われた数少ない言葉で覚えているのが
「選手に負担をかけさせるな」です。

ここにITでのコンディション管理の大事な要素が凝縮されている気がします。

ITやテクノロジーが発達すると、管理する側は何でも取りたがるし知りたがる。
「それは逆なんだ」と戒められたような気持ちになったのを覚えています。

ただ、当時ユーフォリアは共同創業者の僕と橋口、あとエンジニア1名のたった3名。
多くのクライアントとのコンサルティング業務を行いながら、アプリケーションを改修する日々でした。

我々に不慣れなところもあり、当時のS&Cコーチ(いわゆるフィジカルコーチ)の方々は歯がゆい思いもあったかと思いますが、厳しくも温かく接して頂き、日々の要求に食らいつきながら月日が流れ、その2年後の2015年のイングランドW杯で、日本が優勝候補の南アフリカに勝つという劇的な出来事がありました。
その後、プロ野球やJリーグなどでも採用され、ユーフォリアという船の航路は大きく変わっていきます。

実は、2015年の年末から約半年をかけて、プログラムを全てリプレイス(書き換え)しています。今までのものは、ラグビー日本代表専用に完全オーダーメードで作ったアプリだったため、増築に増築を重ねた形になっていて、拡張性に乏しくなっていたためです。何よりも、もっと多くのチーム・競技でも広く使って頂きたい、いや、むしろそうならないと我々もビジネスとして存続ができない、そんな必死の思いでした。
一番拡大したい時に、立ち止まってシステムの全改修を行なった、これは今となっては英断でした。

2016年、正式に「ONE TAP SPORTS(ワンタップ・スポーツ)」の誕生です。

そこから2年。僕と橋口はたった2名で海外を含めてリサーチに飛び回り、海外に存在する競合のシステムも徹底的に調査し、開発に生かしてきました。
そして、100を超える多くのチームにご利用頂くようになります。
しかし、世界での現状を知れば知るほど、2019年ラグビーW杯や2020年東京五輪を控え、この開発スピードではこの先、海外勢には勝てない、もっと現場にとって良いものにせねば色々な意味で手遅れになる、と感じていました。

そして、2018年8月、僕たちは初めて外部から資金調達を行います。
https://news.mynavi.jp/article/20180808-675750/

親しい友人達とともに設立した個人商店から、公な存在としてユーフォリアがスタートアップ企業となった瞬間です。実に創業から10年目で、いわゆる「第二創業」を迎えることになりました。

2019年、僕たちは2度目の資金調達を行い、開発や営業などの人員を拡充しています。
今までずっと欲しかったS&C(いわゆるフィジカルコーチ)やATC(米国認定アスレティックトレーナー)や栄養士、スポーツ・サイエンティスト等のスペシャリストが新たにユーフォリアのメンバーになってくれました。
Yahoo!やSBなどの大手IT企業からも優秀な人材に来て貰うことができ、ユーフォリアは、外部エンジニア等やインターンまで含めると30名近いファミリーになりました。

https://thebridge.jp/2019/12/athlete-condition-onetapsports-fudraised

しかしこれは、やっとスタート地点に立てた、というだけのことです。
まだまだ既存のユーザーの方々にも価値を届けられていないケースが多くあり、お待たせしていることが歯痒く、とにかく時間がどれだけあっても足りません。ヨチヨチ歩きの僕らを育てて頂いた、特に初期のユーザーチームの皆さまへのお返しはこれから。まさにここからが勝負と思っています。

外部から大事な資金を入れて頂いたのは、それを開発や人件費に大切に使いながら、ONE TAP SPORTSを早く磨き上げ、より多くのチームに届けていく。シンプルに、これが約束です。
やり切るために、とにかく、ファミリーでチーム一丸となってやるのみ、です。

スポーツテック(スポーツxテクノロジー)という言葉はここ1〜2年、多くのところで聞くようになりましたが、僕たちが資金調達に舵を切ろうとした2016〜17年頃はまだ一般的には馴染み薄く、投資家の目も、それはそれは冷ややかなものでした。

KDDI(グローバルブレイン)、アシックス、アトラエ、豊島という4社は、そんな我々に大きなチャンスを与えてくれた存在であり、同じ船に乗る「チーム」であり「クルー」と僕たちは思っています。

2019年ラグビーW杯に話を戻します。
僕たちが初めて話を聞いてから約8年。
ラグビー日本代表はまさに目標をなし遂げました。
目標だけでなく「目的」も。です。

彼らの目的は、

「ラグビー日本代表が”憧れの存在”となる」
「日本ラグビーを復活させる」

そのための「目標」がベスト8であり、あの戦い方だったのではないかと思います。

個人的に、今大会で一番の気づきは
「誰も信じられないような結果を出すには、信じられないような努力を積むしかない」
ということ。

日本代表チームはもちろん、オールブラックスを粉砕したイングランド、あの被災地:釜石での開催、そして日本大会の開催と熱狂、すべてにおいて、です。
時間を数年前に巻き戻してこれを想像すると、すべて奇跡のように思える出来事ばかりですが、周到に準備して来た人たちは、決して奇跡などとは言いません。それを目の当たりにした、本当に貴重な機会でした。

さて、2020年。
いよいよ、あんなに先だと思っていた東京五輪がやって来ます。
泣いても笑ってもあと半年後に。
ラグビーの「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」はチケットを衝動買いするエクスキューズに一役買った最高のキャッチコピーでしたが、自国開催のオリンピック・パラリンピックだって、生きている間にそうそうあるものではないでしょう。
そして、きっと多くの人の人生を変えると思います。

ONE TAP SPORTSは、東京五輪に出場する多くのナショナルチームにも採用されています。残された時間、私たちにできることを全力でやり遂げ、最高のフィナーレを目指して走りたいと思います。

そして、東京五輪が終わった後の社会に、何が本当に残せるのか。
レガシーとは何なのか。
僕たちにしかできない、データのチカラで必ずそれを証明して行きたいと思います。

まだまだ小さく不安定な船です。これからも現場の方々からは、厳しく温かいご指導を頂きますよう、どうぞよろしくお願い致します。

そして、この船に一緒に乗ってくれる勇気あるチャレンジャーを、でもちょっとだけクレイジーな仲間を、引き続き募集しています(詳細は新年にまた!)

2019年、本当にありがとうございました。
2020年、一緒に素晴らしい年にしましょう。

2019年12月31日
株式会社ユーフォリア
代表取締役/Co-CEO
宮田 誠

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